『マリッジ・プロット』読了

マリッジ・プロット

ジェフリー ユージェニデス著『マリッジ・プロット』読了。

ジェフリー ユージェニデスというと映画『バージン・スーサイズ』の原作『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹 (ハヤカワepi文庫)』の著者。『ヘビトンボ~』は70年代のアメリカ郊外の物語だったのに対し、こちらは80年代の大学を舞台にしたラブコメ。

そもそも「マリッジ・プロット」というのは「男女がなんやかんやがあって最後には結婚しました」あるいは「結婚せずに○○しました」みたいな総じて「ラブコメ」と言われるジャンルの物語のことらしく、ユージェニデス版の「ザ・ラブコメ」といったていだ。
出版元のハヤカワ・オンラインの本書のページの紹介はこうだ。

一九八〇年代のアメリカの大学を舞台に、ピュリッツァー賞作家が流麗な筆致で描く現代の結婚小説。『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』著者、待望の最新作!

大学の卒業式の朝、ベッドに横たわるマデリン(英文学専攻)は騒々しく鳴り続ける玄関ブザーの音にびくりとなった。鳴らしているのは式を楽しみにやってきた両親だ。しかし彼女の髪は乱れに乱れ、ひどい二日酔いのせいで意識は朦朧。深酒をした理由なんて思い出したくもない。すべては恋愛のせいなのだそれでもマデリンは立ち上がり、ドアへと向かう――こうしてはじまる恋愛喜劇。マデリンがミッチェル(宗教学専攻)とレナード(生物学、哲学専攻)と繰り広げるこじれた三角関係が行方は?(マリッジ・プロット:ハヤカワ・オンライン

600ページの分厚い本だが、物語はマデリンを中心とし、ミッチェル視点、レナード視点、それぞれを主人公としたの大学生活から新生活に至るまでの光と影・紆余曲折の物語が語りつくされる。マデリンは一見パッとしたヒロイン然とした女の子だがハッキリ言ってちょっとおバカだ、ミッチェルもちょっと変人ぽいし、レナードに至っては分裂気味、とはいえ3人とも若さゆえ・・・のところが大いにあるので自分の胸に手をあてて「我を顧みる」と、まぁそんなもんだったよなーとちょっとほろ苦い感じ。
物語が進むにつれ、それぞれの人生、3人の関係はこじれにこじれるが、わりとあっさりと爽やかな幕切れとなる。

物語の本筋に関してはあまり語ることはないが、やはりユージェニデス作品だけあって80年代若者の文化の描かれ方というか、ちりばめられ方がなかなかニクい。
メールもケータイも iPhone もない時代、恋人たち(あるいは恋する人?友だち?)のコミュニケーションの方法(クレジットカード会社経由で手紙を出す!?)、聴いている音楽、遊び方、ファッション、かっこよさの基準、人生観、親子関係、60~70年代カウンターカルチャーの残り香などなど。

80年代は身に覚えがあるので(笑)アタマの中では映像化しながら読み、これが映画化されたらそれはそれで楽しそうだなぁと思った、あんまりヒットはしなそうだけれども。
本のタイトルでググったら、この本を題材にしゃべってる「Live Wire152 2013年2月1日 杉江松恋のガイブン酒場#3」というイベントがあったようなのでご紹介。(「マリッジ・プロット」に関しては00:35:30あたりから)

なんかもう「はいはい」「そうそう」といった感じの内容で、読んだからこそ面白さ倍増、みたいなおしゃべりでした。
この間文芸フェス行った時も思ったけれど、こういう本を中心としたおしゃべりや朗読を聴くのは最近見つけた面白さ、まだまだ知らないことがたくさんだ。

読書が止まらない

昨年 Kindle Paperwhite を買ってからというもの、読書づいている。
過去には読書はどちらかといえば好きな方だったが、増える本の置き場に困ったり、引っ越しやなんかの繰り返しもあって、本を増やすことに抵抗を感じていたり、また物理的・心理的に本を読む時間を作れなかったりとなんやかんや読まなくなっていた。特に小説。逆に仕事のための技術書などは必要だろうということで頑張って買ったり読んだりはしていたけれど。
これまでも電子書籍のショップやデバイスは出ていたけれど、どれもピンとこなくて、あるいは Kindle と比較をしてみたかったというのもあり、それとなく待っていたら、発売することになり、価格も手を出しやすいこともあって見る前に注文してしまった。デバイスに先駆け、日本の Amazon でもKindle ストアがオープン、 iPhone や iPad アプリで買ったら即読めるようになった。
当初から読みたいなーと思いながらも買う(実体を家の中に持つ)のはなぁ・・・と思っていた微妙なラインのミステリーの名作や話題作なんかが、ずらっとお手ごろ価格ラインナップされていたのでサクサク買って読んだ。ひとつ読むと続きや同作家の別の作品が読みたくなる、即買える・・・の繰り返しでいつの間にやら何冊も何冊も読んでいた。出先でぽっかり時間ができてもサクッと買ってしまったり、そもそも買っても買ってもモノが増えないし!
しかし不思議なのが料金体系で、文庫本がでているちょっと年数がたっているような作品は文庫本値段に近いのに対しハードカバーでしか出ていない本はその価格に近しい価格になる。実体のないもの、かついずれ安くなるだろうと予測されるものに数千円出すのもなぁと思うのが人の常、ひとまずは安価な文庫本感覚のもの、セールになってるものを狙って買うようになった。

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飛びつく思考、検証できる思考

ファスト&スロー (上)

 

FacebookやTwitterでチェーンメールのようにシェアされまくるちょっといい話をたまに見かける。この手の話にはたいがいそれっぽいコメントがついていて、すぐさま反応して「すごいすごい」とさらにシェアする人もかなり多い。とはいえ、この手の話はデマであることが結構多くて(「イイ話デマ」というらしい)、慣れてしまった(?)人によるとそういうのを見ただけでこれはアヤシイと思い、スルーするか自分なりに検証して「デマだ」と特定できたら、「デマみたいだよ」というコメントとその根拠になるソースをつけて再シェアしたりする。

私もどちらかというと後者で、もともと騒がれているものに飛びつくタイプではないのもあるが、自分の直接の知り合いがあまりにも信じ切って拡散しているのを見るとさすがに興味が出て検証し、実害まではいかなくてもそれに近しいような「よろしくない状態かも」と思ったときにそっと当人に伝えたり、自分でソースをつけて出すなどをすることもある。最近はこのサイクルが早くてちょっと遠巻きに見ていると誰かがすぐ検証し収束…ということのほうが多いけれど。

このような「すぐに飛びつく思考、検証できる思考」について、今ちょうど読んでいる『ファスト&スロー 上』という本で語られていて、面白い。

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