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列車に乗った男

列車に乗った男列車に乗った男』を観ました。
「ルコント+ジャン・ロシュフォール」というだけでかなり期待させてくれる一本。
今回はそこにジョニー・アリディというまた味のある俳優さんが加わりました。過去には「フランスのエルヴィス」としてアイドル的な人気を博したそうですが、本作品では一転、寡黙なアウトローを演じています。そのプレスリーっぷりを知らない私としてはそっちのほうが想像もつかないぐらい。(出演作であるところの『アイドルを探せ』とかは観ているのだけど、ぜーんぜん記憶にない)
地味で渋い男たちの良質なドラマでした。

男女の愛の世界ばかりを描いてきたルコント監督が描いた新作はわずか3日間に過ぎないふたりの男の究極の“愛”の世界。
ここで言う愛とはいわゆる恋愛ではなくて憧憬の愛、ロマンである。まったく性格も境遇も違う二人が、たぶんおそらく一生かかわることのない種類の人間同士が偶然にもかかわり、心のそこの深いところで憧れあう。
歩み寄りそうも無い二人が3日間一緒にいることでそれぞれの考えや行動に少しずつ影響を与えていく。「あぁ、こんな人生もよかったなぁ」と思わせていく。
二人がだんだんと歩み寄る過程で起こす行動にある種の照れが感じられ、そこにささやかな「おかしみ」と「よろこび」が見え隠れして楽しかったり、自分の心底にある希望に気づいた瞬間の驚きと感動をさりげなく見せてくれる。
ひとつの人生を生きるだけなはずだった男たちのもう一つの人生が見えた3日間。
列車に乗った男★★★★

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