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誰も知らない

誰も知らない全員父親が違う4人の子供たち、しかも戸籍上は存在しないことになっている。(そこで既に何かが間違っていると思うのだけれど)それでも母親とともに仲良く暮らしていた彼ら。突然の母の失踪により「誰にも知られてない」子供たちだけの漂流生活が始まる。
主演の柳楽優弥くんが今年のカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞したことでずいぶん話題になった『誰も知らない』。
1988年に実際に起きた事件をモチーフに是枝裕和監督が監督、脚本、プロデュース。傍から見ると悲惨としかいいようのない事件を繊細な視点から優しく紡ぎだした。世の中からは完全に孤立した(というか存在が認められない)子供たちはまるで透明人間のよう。劇中ではしゃにむに生きようとしなくても生きることができてしまう「モノ」で溢れている日本(の都会)の不気味な生ぬるさが、「漂流感」を感じさせる。

「(母親が)いつか帰ってくる」と希望を持ち、寄り添う子供たちはこれだけ悲惨な状況にあってもどこか幸せそうだったのがとても印象的。演じた子供たちのあどけない表情「お兄ちゃん」に頼り切る姿が切なく、そして柳楽優弥演じる「お兄ちゃん」が終盤どんどん野性味を帯びていくのがたくましくもあり、哀しくもあった。

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