東海村の原子力発電所からプルトニウムを盗み出し、自宅のアパートで原子爆弾の製造に成功した中学校の理科教師が原爆を武器に国家(警察)に次々に要求を突きつける。
東京という巨大な人質を盾に男は(現代社会における)万物を動かす力を持つ。しかし男はその力を持った瞬間に己の為にこれといった夢も希望も欲も持たないことに愕然とする。しかし力を持った以上は何かを得たい(あるいは何か権力に一泡吹かせたい)。結果その葛藤に苦しんで追い込まれていくことになる。
一見、無理な展開、無駄に派手なアクション・映像、おバカ発言の数々に単なる荒唐無稽なトンデモ映画かのような印象も与えてしまう。
けれど、その根底にある部分では当時(1979年)も今も変わらぬ「生かされ感」に嫌気がさした自分に気づき、焦り、時に絶望している社会全体の風潮を写し、重くのしかかる。
前半部分、男が原爆を作るに至り(製造シーンは圧巻!)、製造し権力にアプローチするところまではスリルが満点。(その後は男の心の葛藤になっていく)
そしてなにより男を追いかける刑事(菅原文太)は色んな意味で凄すぎ。タイトルに流れる音楽も印象的でなかなか素敵です。
作品データ
タイトル | 太陽を盗んだ男 |
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監督 | 長谷川和彦 |
キャスト | 沢田研二、菅原文太、池上季実子 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 1979 |
ジャンル | サスペンス,ヒューマン,アクション,社会派ドラマ |
備考 |