カナダ映画『みなさん、さようなら』をレンタルDVDで鑑賞。2003年米アカデミー賞外国語映画賞受賞。
舞台はカナダのモントリオール。末期ガンで余命わずかとなった父、その父の生き方に反発してきた息子が、その葛藤を抑え精一杯「楽しい最期」を迎えることができるよう演出する。
その父親というのが 偏屈な社会主義者で書物と女を愛する大学教授。女好きが高じて家族はさんざん迷惑をかけられ、息子は「父のようにはなるまい」と父の社会主義的な考えを否定するかのように人生を送り、ロンドンで証券ディーラーとして成功。
父との確執を抱えながらも母の切迫した願いに何かを感じ、婚約者を連れロンドンから舞い戻る息子。「友人を呼んで楽しい病室にして」という母の願いに息子は奔走。愛人であった女性を含め世界のあちこちから友人たちを集める。友人がたくさん来ても平気なように、設備の整っていない公立病院(「主義に反する」と転院を嫌がる父のため)に袖の下を渡し、病室を改造。痛みが増して苦しむ父にモルヒネより効くというヘロインまで調達。大好きな人たちに囲まれてた穏やかな最期を迎える。
この父親というのが学者らしくちょっと変わっていて人間として面白い。(父親としてはどうかと思うけれど。)物事の見方、考え方、会話が奥深くて。友人たちを集めての会話がまた楽しい。インテリらしく、言葉遊びが巧み。病人とは思えないほど鋭い。
大好きな友人たち、そして家族と思う存分たくさんの会話を持てたのは彼にとって最高の最期と呼ぶにふさわしかったと思う、そしてそれを全部お膳立てした息子は、さらに大きなものを得たような気がする。
作品データ
タイトル | みなさん、さようなら |
---|---|
監督 | ドゥニ・アルカン |
キャスト | レミー・ジラール、ステファン・ルソー、マリ=ジョゼ・クローズ、マリナ・ハンズ |
製作国 | カナダ、フランス |
製作年 | 2004 |
ジャンル | ヒューマン |
備考 |