『トニー滝谷』を鑑賞。
村上春樹の短編集『レキシントンの幽霊』に収録されている同名小説が原作。
村上春樹ファンにはお馴染みの「モダンでちょっと温度の低い(ないわけではない)」不思議な独特の世界がそのままスクリーンに映し出され、映画とも朗読ともいえる個性的な作品でした。
戦中戦後の混沌とした時代をトロンボーンを吹きながら過ごしたジャズミュージシャンの滝谷省三郎、戦後すぐに結婚するが妻は息子を産んだ後あっという間に死んでしまう。
生粋の日本人なのに「トニー」と名づけられた主人公は演奏旅行で飛び回る父。トニーは孤独な子供時代を送り、やがてひとりでいることを何とも思わなくなる。やがて緻密で無機質で正確な画を描くイラストレーターとして成功し、ある日小沼英子という女性に恋をする。そこで初めて孤独でなくなり、やがて孤独を恐れるようになる。それにも慣れたころ、妻があまりにも多く洋服を買いすぎることが気になるようになった。
トニー滝谷は既に孤独だったから実際に孤独であっても何とも思ってなかった。でも、孤独でなくなった瞬間に孤独の恐怖を感じる。
持っているものがあってこその「喪失感」。持ち主のいなくなった空っぽの洋服部屋を前になんとか取り繕うとするも、それが何の意味もないことに気づく。
ラスト、今度こそ本当に孤独になってしまったトニー滝谷。もともと体温があまり感じられない男であったが、その改めて訪れた孤独を受け入れるためにさらに体温をぐっと下げたかのよう。
しかし原作とはちょっと違ったラストシーンは下げた体温のなかにも少しくすぶる何かが見えていた。
主要キャストが2人とも二役、2人とも印象の違ったキャラクタを見事に演じわけ、ほかのキャストはほとんど印象に残らない程度にしか配していない。
そのごくシンプルな2人(4人)の世界と朗読、ピアノ演奏だけという音楽(坂本龍一!)が、また独特な春樹ワールドを体現。ごく端くれのハルキストですが満足の一本でした。
作品データ
タイトル | トニー滝谷 |
---|---|
監督 | 市川準 |
キャスト | イッセー尾形、宮沢りえ |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2005 |
ジャンル | LOVE,ヒューマン |
備考 |
あ、もうそっちは公開されてるんだね。
大阪は、もうちょい後かな。
予告見て、やけに静かな映画だな、と思ってたんだけど、それが村上春樹の世界観には丁度いいのかもね。
とりあえず、原作読んでみよっと。
お邪魔しまーす。
私も大満足の1本でした!
よろしければウチの頁にも記事アップしてますんで、お越しくださいませ?。
トニー滝谷
TONY TAKITANI
(2004年 日本)
2005/4/4@ユーロ
これ、今んとこ今年のベスト。
もしくは『ビフォア・サンセット』と並んで同率1位。
駆け込みだったけど、観れて本当によかった。
ちなみに原作は、映画を観た時点では未読だった。
あらすじはどこかほかの…
トニー滝谷 今年の194本目
トニー滝谷
ま、期待して見た訳じゃないから、いいんだケド、、、今のあたしには、こんな映画は、合わない。
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