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映画『たまもの』

SlowTrainで密かに大フィーチャーされているピンク映画。
昨年一般公開し、傑作と呼び声の高い『たまもの』をTsutaya(の普通の邦画コーナー)で発見、借りて観ました。
ストーリーはいたって単純、プロボーラー志願の女が、郵便配達夫の男にふられる。ただそれだけ。
女・愛子は若くはない(30過ぎという設定)が見た目としぐさの幼さの所為か年齢不肖ないわゆる「不思議ちゃん」。思い込んだら一直線といったタイプ。
ひょんなことから郵便局員の良男と出会い恋に落ちた愛子。ご飯が美味しいと言われれば作り続け、お弁当を届け続け、奉仕し続ける。まっすぐにひたすらに。そんな愛子に良男はウンザリして同僚の誘惑に乗る形で捨ててしまう。

なぜ捨てられたかまったくわからない愛子。遂に衝動的な行為に走ってしまう。
クライマックスに至るまでの愛子はほとんどしゃべらず首を縦に振るか横に振るか、ニコっとするか、地団駄を踏むか、で感情を表す。妙にシュールな雰囲気を醸しだしている。低予算のインディーズ邦画みたいなノリだ。(というかピンク映画とはそういうものなのでしょうか)
その場面場面ではっとするような美しい空とか海とか、あるいは単なる建物のショットにストンとなにか心に染み入るものを感じたり、「痛いヒロイン・愛子」のひたむきさが切なさになってこみ上げてくるものがあるのです。うまく言えないけれど。

奇しくも主演の林由美香さんは急逝してしまったそうです。まだまだこれから!というときだったみたいなのに。
ピンク映画界では彼女の功績は大きかったようで、多くの要望に答え、一般映画館でも追悼上映が実現したそうです。
ちょうど渋谷だし、スクリーンで観てみたいなと思ってます。
女優・林由美香 追悼特集上映「由美香 Oh My Love!」

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