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映画『ライフ・イズ・ミラクル』不幸な境遇でも強くたくましく、楽しむことも忘れないセルビアの人々

Chris Spencer-PayneによるPixabayからの画像

お気に入り監督エミール・クストリッツァの新作『ライフ・イズ・ミラクル』を公開終了間際に鑑賞。祖国、旧ユーゴスラビアの激変期を舞台に市井の人々が紛争に巻き込まれて翻弄されるさまを物悲しくもコミカルに表現。絶望の淵にありながらも力強く(そして楽しく!)生きるということを描く。物語は1992年・ボスニアののんびりとした村の風景から始まる。三々五々集まってはブラスに興じ、喉が渇けばアルコール、ちょっとしたいさかいはすぐに派手なけんかになり、パーティではそれを肴に楽しむ村民たち。時間の流れがゆったりと流れる。村に鉄道を引くためにのんびりと仕事に出かけるルカ。仕事とはいえのんびりしたもので時にはお酒を飲んだり、楽器を弾いたり。少々ヒステリックな妻とサッカー選手として未来を嘱望されている自慢の息子とそれなりに幸せに暮らしている。しかし突如紛争が勃発。同タイミングで兵役に出る息子は紛争の前線に借り出され、妻は浮気で家出。さらに息子は捕虜となってしまう。絶望の淵に追いやられるルカ。
村でも砲弾が降るようになっても、息子の無事を祈りながら家を守り、仲間とのんきに村で暮らす。
ひょんなことから美しいムスリム女性サバーハを交換捕虜として確保、息子を交換できる日を待ちながら奇妙な同居生活が始まり、そのまま二人は恋に落ちてしまう。しかし息子を取り戻すには彼女を手放さなければならない。戦争のせいで理不尽な立場へ追いやられてしまうやるせなさ。
不幸な境遇でも強くたくましく、そしてどんなときでも楽しむことも忘れないセルビアの人々。
情熱的で血気盛んで情に厚く、涙を流しながらも力強く生きていく姿が印象的でした。

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