今敏監督新作『パプリカ』を鑑賞。
筒井康隆の同名小説「パプリカ」が原作。
今敏監督といえば『東京ゴッドファーザーズ』の素晴らしい印象が強く、今回もやたら評判がよろしかったこともあり期待大で観たのでした。
やはり期待に違わず面白かった!
物語は夢を共有する装置DCミニ(実験段階のもの)が研修所から盗まれてしまい、それを悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生。犯人の正体は?その目的は?そしてその悪夢から抜け出す方法とは・・・?というSFミステリ。
監督は原作者である筒井康隆の大ファンであり、その2人の対談からこの映画化の話が実現したらしい。
印象的なのは次第に現実世界と夢の世界が渾然一体となるシーンで、今監督作品独特の極彩色とスピーディな場面展開がいい意味でこちらの目を回してくれるのです。
そして監督もこだわったとみえる夢世界の住人の発する言葉の七五調の節回し。
読んだ方も大勢いるだろうが「ヘル」という筒井先生の新作は内容もさることながら、後半の語り口が狂騒を煽るがごとき七五調なのである。読んでいるとどんどんリズムに乗って浮かれてくるようであった。ヘルは地獄というより煉獄という不可思議な世界で展開する不思議なエピソードの数々は是非ご一読をお勧めする。
妄想の七「夢にキャッチ」
監督も言っているように、ブンチャカブンチャカした音楽とその節回しとが、観ているこちらまで催眠術にかけようとしているような、呪文のような独特の趣でカラフルで毒々しい「悪夢のパレード」を盛り上げているのです。
比較的小さい劇場で観たのですが、なかなかの迫力でした。あれ大きなスクリーンだとうなされそうだ・・・。
もう一つ印象的だったのは声優陣で、ここ近年、アニメ映画の大作といえば人気俳優や女優が声をあてているケースが多い中、この作品ではほぼ全員が声優が本業のキャストであったこと。(しかもただひとりの本業俳優である江守徹もナレーションや声優としてのキャリアが豊富なのでもちろん申し分がない。)
本業じゃない人の声あてというのは「意外といいじゃん」な場合と「やっぱ無理あるよね・・・(つーかヘタ!)」な場合とよく言っても半々、いや後者のほうが多いんじゃ・・・と常々思ってるので、そういった意味でも「安心して」観ていられました。もちろん本業じゃないから即NGとも思わないけれど、妙な圧力で無理やりやって欲しくないなというのが一番です。