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飛びつく思考、検証できる思考

hainguyenrpによるPixabayからの画像

FacebookやTwitterでチェーンメールのようにシェアされまくるちょっといい話をたまに見かける。この手の話にはたいがいそれっぽいコメントがついていて、すぐさま反応して「すごいすごい」とさらにシェアする人もかなり多い。とはいえ、この手の話はデマであることが結構多くて(「イイ話デマ」というらしい)、慣れてしまった(?)人によるとそういうのを見ただけでこれはアヤシイと思い、スルーするか自分なりに検証して「デマだ」と特定できたら、「デマみたいだよ」というコメントとその根拠になるソースをつけて再シェアしたりする。

私もどちらかというと後者で、もともと騒がれているものに飛びつくタイプではないのもあるが、自分の直接の知り合いがあまりにも信じ切って拡散しているのを見るとさすがに興味が出て検証し、実害まではいかなくてもそれに近しいような「よろしくない状態かも」と思ったときにそっと当人に伝えたり、自分でソースをつけて出すなどをすることもある。最近はこのサイクルが早くてちょっと遠巻きに見ていると誰かがすぐ検証し収束…ということのほうが多いけれど。

このような「すぐに飛びつく思考、検証できる思考」について、今ちょうど読んでいる『ファスト&スロー 上』という本で語られていて、面白い。

システム1はだまされやすく、信じたがるバイアスを備えている。疑ってかかり、信じないと判断するのはシステム2の仕事だが、しかしシステム2はときに忙しく、だいたいは怠けている。実際、疲れているときやうんざりしているときは、人間は根拠のない説得的なメッセージ(たとえばコマーシャル)に影響されやすくなる、というデータもある。

ファスト&スロー 上

たいていの人は、結論が正しいと感じると、それを導くに至ったと思われる論理も正しいと思い込む。たとえ実際には成り立たない論理であっても、である。つまりシステム1が絡んでいるときは、始めに結論ありきで論理はそれに従うことになる。

ファスト&スロー 上

システム1とは

システム1の能力には、動物に共通する先天的なスキルが含まれている。すなわち人間は、周囲の世界を感じ、ものを認識し、注意を向け、損害を避け、蜘蛛を怖がるように生まれついている。一方、先天的でない知的活動は、長年の訓練を通じて高速かつ自動的にこなせるようになる。

ファスト&スロー 上

そしてシステム2はというと「ちょっと考える」ことをする思考。

システム1は先天的な直感+訓練で身についているもので、この話で言うと、つまりは飛びつく人はその時システム1が働いていて、検証する人はシステム1でアヤシイと感じ、システム2で検証しようと思う…と考えられる。

訓練というと大げさだけれども、この「ネットによる誤情報の拡散」の場合はわりとネットの情報に関して明るくて何度かこういうことを繰り返して学習した人というべきか。

ただし、この手の話は「本当だ・偽物だ」だから「良い・悪い」というだけではなく、発信元の思惑に踊らされてるのを何となく感じつつも「思わず感動しちゃった・感心しちゃった」という人もあったりだったりもする。まぁ、世の中にはそういうのを利用して云々という人ももちろんあるので、以前は私もついつい、ただただ「けしからんなー!」と思っていたのだけれども、受け手が「感動しちゃった」というのはそこに心動く何かがあったということなので、そのあたりはそれなりに汲むという心の余裕も持っていないとなのかもなとも思ったり。

ところでこの本はKindle Paperwhite で読んでいるのだけど、このハイライト機能というのが便利。記録しておきたいテキストを指でなぞって選択するとポップアップで「シェアするかハイライトするか?」みたいのを聞かれるのでハイライトとすると Amazon KindleYour Highlights というページにドンドン追加されていくので、こうやって振り返りたいときに見られる。同じ本を他の人がどこをハイライトしているのかも見ることができる(公開設定にしている人のみ)。とはいえちょっとアクセスに難があったりで、まだまだという感じなので今後に期待。

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