朝ドラの「あまちゃん」をダブルヒロイン作品として観る

2013年4月スタートの「あまちゃん」が人気だ。
主演の能年玲奈さんが可愛い可愛い!一部のファンの方(?)に至っては「とうとう見つかってしまった」とやけに評判だけれども、個人的には母親の春子役のキョンキョンこと小泉今日子さんのほうが「とうとう見つかってしまった」感がとてもある。
特にコアに追いかけているわけではないけれど、音楽はずっと気に入って聴いていて、映像物は実は久しぶりに観た。過去の映画やドラマもいくつも観ているけれど、そのときの「いい女優さんになったんだなー」感を思い出したというか。
今回のお母さん役はいわゆる朝ドラのお母さん像とは全く違って「ヒロインを暖かく見守るお母さん」というよりは彼女自身のこれまでのこととかこれからのこととか、ヒロインのおばあさんであるところの母親との関係とかに疑問を持っていたり悩んでいたりする40代のイチ女性として見てしまう。ある意味角田光代さんが書いてそうな小説の主人公でもおかしくない感じ。

今よりさらに24年前といえば地方(というか田舎)と都会(というか東京そのもの)の違いが歴然としていて、都会のキラキラ感とかが半端なかったのではないかと思う。私でも東京から埼玉に引っ越しただけでもそう感じたのだから東北のほうだともっとだろう。
時代的にもイケイケで、真面目に勉強して働いたら必ずお給料がドンドンあがってちゃんとした大人になれる、地方だったら都会に行ったらいろいろ派手で楽しいことがあるもんだと漠然と思ってしまうような、社会的には何にも不安要素がない雰囲気だった。漠然と微妙だなぁーと思ってたのは東西冷戦ぐらいか。
まぁ、そんなこんなでこのままでは「パッとしない田舎から出ることもなく死んでいってしまうのかな」と思ったのであろう春子が都会に出たらなんとかなる!と思って出てみたけれど特に仕事でひと花咲かせるでもなく、結婚して子供も持てたけどその子でリベンジしようとするも逆に地味すぎてパッとする感じもなく、どーしようもなくいろいろ投げやりになってとりあえず帰ってきてしまったところ…といった風情を気怠い感じでキョンキョンは演じている。「そーだよ、大人だってそんなにいろいろちゃんとしてないよ、どうしたらいいかわかんないことだってたくさんあるよ」っていうダメさ加減がにじみ出ていてにグッと来てしまう。
もちろん母親らしく娘のフワフワした気持ちをキュっと引き締めるようなことを言ってみたり、母親に彼女なりに歩み寄ってみたり、でもそれなりには大人になりましたよ感もあったりしてそこはそこで切なくもあり。
恐らく世代が近しいので共感してしまっているということなんだろうけれど女優・小泉今日子はやっぱり好きだなーと、これが毎日見られるなんてー!と嬉しくて、日ごと2~3回は観てしまうのだ。