ママでもキャリアアップできた

やっと追いつけた

半年に一度の社内評価制度により、入社以来初めて昇格できた。昇格というと仰々しいけれど、レベル的にはようやく「自走してもいいよ(=プロフェッショナル扱いしますよ)」というだけのこと。現在の中途採用の基準としているレベルに達したにすぎない。中途で育成枠以外で入った人は最初の評価査定で軽々とクリアするのが通例だ。
しかし自分の場合,すでに年齢的には後続を育てる側であるアラフォーで、しかも未経験でウェブ業界入り、ひと回り近い年下の先輩たちに根気強く育成してもらいやっと、というところ。年齢のことはもちろん、社内的にも中途で入ったのにこんなに年数かけての昇格というのは圧倒的に遅い。遅すぎて少々恥ずかしいぐらい。
けれど、40超えて妊娠出産を経て時短になって、もうダメかというところでなんとか成長して認められた・・・というのは誰の参考にもなる気はしないけれど、年齢はともかく「ママのキャリア」としては悪くないのではと思いポストすることにした。

これまで

現職場がまだまだベンチャーっぽかった8年前、未経験ながら縁あって「ウェブ標準(懐かしい・・・)を理解していてそういうコーディングができる & 動的テンプレにひるまない」+「独学でそこまで出来るようになったのだからポテンシャルはまぁあるだろう」というのと、同時期に「たたき上げで、めっちゃビジュアルできるベテランさんが入るからそっち方面は学ばせてもらって出来るようになってね」ということで、デザイナーとして入社させてもらった。今では考えられない。
その後なんやかんやあって、そのベテランさんは1年足らずで退社、入社時の上司もその前に退社、誰にビジュアルデザイン教わればいいの?状態になった上に、なぜかマネジメントを行わなければならない立場になり、アップアップになってしまった。(その頃のポストが残っていた
その頃はまだ社内には確固たるデザイナーの評価制度がまだなく、事業部任せなところがあった、そのおかげか「がんばってますよね」という認められ方で評価され「そこそこなお給料」にはしてもらっていた。
けれどインハウスのデザイナーとしてどういう人材が必要なのかが明確にすべく評価制度が整ってくると「まだまだだよね」というのが浮き彫りになった。また当時の部署ではいわゆる「デザインスキル」を上げられるような実務がほとんどなく「社内がダメなら社外から」と、せっせとセミナーや勉強会に参加してみたけれど、先端技術をどんなに仕入れたところで発揮する場面はない。また使いどころを社内で具体的に提案する力もなかった。せっかく得た知識も「絵に描いた餅」状態でどんどん色あせていく・・・。自分に必要なのはこういうことではないな、といったん整理するかのように参加を見合わせることが多くなった。
その後なんやかんやあって、デザイナーの数が揃っている現部署に異動。コーディングは遜色なくできてるね、という風には見てもらえてはいたけれど、付け焼き刃なビジュアル力のほうは通用することもなく、1からやり直しの日々。ならばまだ社内にほとんどいなかったフロントエンド方面で尖る人になろうとはしてみたけれど、当時は「それだけの人」は必要とされていないのだった。

試行錯誤、でも結果はついてこない

もうとにかくビジュアルを作る力を最低限つけないといけないのは明白。(年はだいぶ下の)先輩デザイナーのアドバイスで、絵を作る業務をなるべくまわしてもらい、どんなに小さなバナーでもすべてレビューしてもらい千本ノックのようにダメだし→やり直しを繰り返し、その過程をすべて履歴に残したりすることをした。おかげでだいぶ勘所はつくようになった。
ようやくデザイナーっぽくなってきたかなとは思えるようになったものの、なかなか評価には繋がらず。評価制度も進化し、「ゴールと課題設定→課題解決のアイデア→アイデアを実現するアウトプット→効果検証と改善策」と体系的に出来るようになることが求められるようになってきた。携わる案件にも、その施策に対する自分のデザインの貢献度(KPI)を評価できるよう強く意識して実践を試みるようになったものの、なかなかうまくいかず、空回りが続いた。
そんなときに妊娠という大きな転機を迎える。年齢的に考えても、出産後今までと同じように仕事にコミットできる保証はない、イメージもわかない。もちろん社内に産後も順調にスキルアップしている人はいるにはいたけれど、今までの手応えからも彼女らと同じように自分ができるイメージもなかった。産前になんとしても評価してもらわねば、と張り切るも空回り。結局昇格なしなまま産休に入ってしまった。
約半年の休みを経て無事に復帰は果たすことはできた。育児にウェイトを置いてスローダウンした働き方をすることもできたけれど、半端なままのキャリアがどうにも嫌で、引き続き昇格を目指すことにした。上司もそれならば、と「あくまで無理せず」というスタンスを保ちつつキャリアアップをする方向での支援をしてくれることとなった。
「(今より)上を目指す」と決めたものの、それでも何かが劇的に変わるわけでもなく、半年後の評価は散々。ここまで何年も成長が見られないので、このままでは評価を下げざるを得ないとまで言われてしまった。以前より自覚はあったものの、長年会社のお荷物になってしまっている・・・ということを改めて認識し気が重かった。

いったんリセット

そもそも成り行きで「デザイナー」になっちゃったわけだし、何か他のデザイナーと比較しても感覚が変みたいだし、もう無理そう、でもこのキャリアのままでは年齢的にも転職とか絶対無理だし「クビにならない程度に頑張る」しかないのかな・・・などと悶々とする日々。でも、ふと「自分は会社の評価にとらわれすぎなのかも?」と自問するようになった。
いったん「会社の評価」は横に置いておいて、このままデザイナーでいくとして、「世の中的に求められていること・現時点で自分ができていること・今はまだだけど手が届きそうなこと」×「自分がどうなりたいのか」を考え、それ以外はいったん捨ててもいいかもな、と思い直した。そこで出した答えが「上流工程(特にIAスキル)の強化、アウトプットのビジュアル強化はいったんステイ」だった。きっちりとした設計ができるようになれば、ビジュアルがイマイチとしてもはアウトプットの説得力は増すし、自分の設計が自力で実現できなければアウトソースすればいい。ビジュアルが作れなくても評価出来るようになればいい。
今年に入ってすぐの面談でそのことを上司に伝えると「いいんじゃないですか」の返答。さっそく実務的には特に必須ではないがこれまで携わった施策の効果検証を改めて行うと同時に以前からトライしたかったコンセプトダイアグラムに落とし込んでみたりした。さらには社内で持っている数値データを元に、個別に行っていた効果検証を一元化してみるなど、次回に効果的なアウトプットが作るための根拠となるような資料を作ることをし、要件定義に含めたりした。
こういう背景がありながらのアウトプットは説得力が増すらしく、レビューをしてもらっても評価は以前に比べ上々、やり直し回数が明らかに減り、「良くなってる」とのコメントもいただけるようになり、自信に繋がった。
また同時期にライティング業務を引き受けていたディレクターの方が退職。「ブログやってたからきっと書けるよね〜」っていうぐらいのノリで一部ライティング業務のお鉢が回ってきた。ライティングを強みにしているデザイナーというのは社内では他にいないし、社内ではページやバナーのコピーライティング的なことはそもそもデザイナーがやっていたので、そこを鍛えたい気持ちもあり引き受けることにした。最初は慣れずに苦労したものの、慣れると苦でもなくなり、以降ライティング業務の幅を広げることもできるようになり、デザインに生かせる感じにもなってきた、ばんざい。
また定時より1時間短い時短勤務という適度な緊張感がよかったのか、産前よりずっと効率よく仕事をする、ということが自然に身についていった。やるべきことはやる、やらなくてもいいことは追いかけすぎない、と割り切りやすくなった。
この動きが功を奏したのか半年前の評価では見違えて良くなったと言われた。ただし、あまりにも急なので再現性にまだ疑問が残る、だから次の評価でも同じ結果が出せたらホンモノと認める、とのことだった。次の半年はその勢いで突っ走ることができ、「めでたく昇格」という結果になった。
昇格できたとはいえやっとみんなと同じ舞台に上げてもらっただけのこと。ようやく中途の採用基準に達することができ、同僚に同僚たる感覚が持てるようになったわけだけれど、今後はまた評価の基準が上がり、要求が高くなるということで引き続き、「強みをもっと強く、弱みは薄める」作戦で邁進したいと思う所存であります。

感謝・感謝

今年はじめの決心からはトントンと来れたようだけれど、それまでにかかった年月は実に7年半!将来有望な若手ではないどころか、なんだか間違って入社しちゃったみたいなボンヤリ社員を雇い続けてくれて、産休、育休、時短しながらも育成枠でとどまらせてくれた現職場、なかなか実績に結びつけられない自分に的確なアドバイスを送り続けて粘り強く付き合ってくれた現上司や同僚、加えて職場復帰してからずっとあまり手がかからないでいてくれる息子、いつも早く帰宅し家事負担をなるべく減らそうとしてくれる夫、結論の無い愚痴に懲りずに付き合ってくれた友人・・・と皆様に大感謝です。
遅咲き過ぎて世間さま(?)にもほんと申し訳ないぐらいですが、お借りした分はキッチリ返さねば、と引き続き気を引き締めていきたいと思います。
きっともう一段階上の方がいい景色なはずなので。