『ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方』を鑑賞。(それにしても非道い邦題:yuck:。ちなみに原題は『The Life and Death of Peter Sellers』)
『ピンク・パンサー・シリーズ』のクルーゾー警部役でお馴染みのピーター・セラーズの半生を描いた伝記映画。戦後、イギリスのラジオドラマで人気を博したセラーズが映画へ進出、その天才的コメディセンスによってあれよあれよという間にスターダムにのし上がる。しかし、その私生活は映画以上にドラマチックだった。
「天才」と呼ばれる人に割と多いのが「社会性に欠けた」「やりたい放題」な私生活、そのわがままや意味不明な言動(本人としては筋が通っている)に周りは振り回される。
華麗な女性遍歴、才能を世に認められキャリアを着実に積み上げたピーター・セラーズも例外ではなかった。
とかく重く暗くなりがちな「スターの闇」の部分も巧みな編集で煙に巻く。セラーズが気に入らなかった妻の対応も得意の声色で編集。セラーズに手を焼く周りの人物の心情や愚痴も「いや、わかってるんだけどさ」みたいなエクスキューズかと思わせるかのようにいつのまにかセラーズ(ジェフリー・ラッシュ)が扮して台詞を語る。
一人で何役もこなしたというセラーズ。「(素の自分の)個性が無いから役になりきれる」という彼の言葉どおり、最後まで彼がけっきょくどういう人だったのか判らないままだった。
セラーズに扮したのがジェフリー・ラッシュ。劇中劇(というか映画)も実物のフィルムを使用することもなく彼が演じ、また40種にも及んだという「声の演技」もお見事。
時代背景に倣ったポップな美術やファッション、音楽、トリッキーな演出とセットがまた楽しくもどこまでも「実体の無い作りもの」だった感をイメージさせる。
残念なのが私自身がセラーズ作品を観ていないこと!おそらく観ていたら数倍は楽しめたのだろうに。観たことがある人はこの作品を観て、さらに観かえしたときに再発見があるはず。映画ファンならば是非チェックしておきたいところだと思う。
公式サイトで紹介されていたフィルモグラフィ
作品データ
タイトル | ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方 |
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監督 | スティーヴン・ホプキンス |
キャスト | ジェフリー・ラッシュ、シャーリーズ・セロン、エミリー・ワトソン、ジョン・リスゴー |
製作国 | アメリカ、イギリス |
製作年 | 2005 |
ジャンル | LOVE,ヒューマン |
備考 |
はじめまして!映画レビューサイトを辿ってやってきました。かわいくてついつい長居させていただいてます。
ところで、わたしも先日この映画を観ました。この映画を観る!と決めてからセラーズ作品を2本観ただけなのですが、Zazieさんのおっしゃる通り、彼の作品を観ていればいるほど楽しかっただろうなぁと思います。逆のパターンでも楽しめると思うので少しずつ彼の出演作を観ていこうと思っています。
わたしも映画が好きでよく観ているので、また遊びにきます(ドキドキ)。どうぞよろしくお願いします。
さやかさん、はじめまして!
>彼の作品を観ていればいるほど楽しかっただろうなぁと思います。
ホントですよねぇ・・・。あれだけ破天荒な生き方をしていても天才的なセンスを持っていたわけですから、「表」の彼を是非確認したいところです。
またお気軽に(?)遊びに来てくださいねー!